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2025.06.13 Fri UP
水野 雅之教授が日本火災学会において業績賞を受賞
創域理工学研究科 国際火災科学専攻 水野 雅之教授が日本火災学会において業績賞を受賞しました。
- 受賞者
- 創域理工学研究科 国際火災科学専攻 教授 水野 雅之
- 受賞題目
- 高層事務所ビルに順次避難計画を導入するための全館避難訓練の継続的調査
- 内容
-
有志によって結成された「高層避難研究会」は、高層事務所ビルにおける全館避難訓練の機会を活用し、順次避難計画の導入、階段内の避難流動特性の調査・分析、さらに避難シミュレーションによる流動再現条件の検討など、多岐にわたる研究活動を展開してきた。これらの活動において主体的に関わり、取り組みをけん引してきた水野雅之(東京理科大学)、佐野友紀(早稲田大学)、門倉博之(東北学院大学)、藤井晧介(消防研究センター)の4名が応募し、こうした継続的な取り組みが高く評価され、本受賞に至ったものである。
高層ビルでは火災や地震発生時に多数の在館者が一斉に避難を開始することにより、階段内で高密度状態が長時間継続する可能性がある。その対策として、出火階およびその直上・直下階から優先的に避難を開始し、他の階は段階的に避難する「順次避難」が提唱されてきたが、実効性のある計画立案に資する具体的知見は乏しかった。
この課題に対応すべく、関澤愛(当時、東京理科大学)、門倉博之、佐野友紀らが2007年に研究会を立ち上げ、某高層事務所ビルで実施されていた年1回の順次避難訓練において実測調査を開始した。2013年には水野雅之、藤井晧介も参加し、他の高層ビルも調査対象に加えつつ、コロナ禍による一時中断を挟みながらも、現在に至るまで継続的にデータを収集してきた。
訓練では、階段本数や避難階の区分、避難開始のタイミングなどを変更しながら実施し、階段内の歩行速度、流動量、密度、合流時の挙動、各階の在館者数の分布、上階への滞留の伝播など、多角的に避難流動の特性を明らかにしてきた。2018年には、過度な滞留を回避しつつ最終避難口での流動も途切れない、効率的な順次避難計画の実現に成功している。
さらに、実測データとの比較を通じて避難シミュレーションソフトの改善にも取り組み、これを活用した順次避難計画の立案手法の検討も進めている。これらの成果は、多くの学術論文として発表されるばかりでなく、対象建物の避難計画や防災訓練の高度化に大きく貢献しうるものであり、また、日本火災学会の火災科学セミナーやシンポジウム等を通じた普及活動も積極的に行われている。
以上のように、本活動は学術的・社会的意義が極めて大きく、今回の業績賞受賞につながったものであると考える。 - 受賞日
- 2025年5月24日
関連リンク
受賞者一覧
公益社団法人 日本火災学会
水野研究室
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